〜あなたsaid〜
こんな話が聞きたくなくても耳に入ってくる。
やっぱり先輩は好きな人いるんだ。
前の私だったらその好きな人が私かもとか思えてたのかな、
そう考えると、ため息が出る。
無理なのかな。私。
せっかくぽち先輩に応援してもらってるのに諦めるしかないのか。
やるせないな。
こんな自分にがっかりする。
その日一日は気分が乗らず、体調が悪くなって早退した。
〜幼馴染3人said〜
〜あーるん。said〜
誰にも知られたくなかった。
自分の好きな人がいることはもちろん、
あなたのことを。
俺が言うのはちょっと違うと思うが、あなたは顔がいい。
好きになられたら困る。
ん?
今なんて考えた?
好きになられたら困る?
どういう意味だ?
あいつらにあなたを知られて、好きになられても、俺には損は無いはず。
なのに、どうしてだ。
こんなにもあなたを独り占めしたくなるのは。
ふと思う。
もしかしたら俺はあなたのこと
好き……………なのか?……………
告白した人に好きな人がいて、好きじゃないと言われ、追い打ちをかけるかのように好きな人がいると噂が流れる。
当の本人は自分のこととは知らないと思う。
俺にはこんなにも上がって下がっての状況は、見たことないし、経験もしたことないだろう。
最近あなたを泣かせないと決めたのに、この仕打ちだ。
そう思うのならばさっさと告白すればいいのに、
そう言っている自分もどこかにいる。
しかし、1回振っているということもあり、なかなか言い出せない。
そのことを抜きにしても告白というのは恥ずかしい。
こんなことをあなたがしていたと思うと、すごいなと思うのと同時に尊敬する。
この噂に終止符を打つためには告白をする以外で何か方法はないのか、
せめてあなたには誤解を解いてもらわなければ、
そう思い、あなたの教室へ駆け込む。
→25話へ続く
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!