〜あなたsaid〜
昨日あーるん。先輩とそあらくんに告白された。
あーるん。先輩だけでも驚きなのに
そあらくんにまでされて動揺が隠しきれなかった。
そのせいで一睡も出来ずに朝が来た。
「今度また言う」
この言葉だけがぐるぐると頭の中で回っている。
違うことを考えようとしても頭の中でずっと動かなかった
そのため、ふわふわとしたまま学校へと向かった。
ただでさえ先輩のこと考えていたのに
もっと頭から離れなくなってしまった。
ずっとぼーっとして歩いてるといつの間にか学校に着いていた。
教室に入り、自分の席でもぼーっとしていた。
するとどこからか名前を呼ぶ声が聞こえた。
ずっと聞きたかった声が聞こえて、
体の熱が顔に集中し、一瞬のうちに顔が赤くなる。
なぴくん達に見られてないといいな、
そう思っていたが、案の定なぴくんとあまねくんはこちらを見てにやにやしていた。
そあらくんはと言うと、こちらと目が合った
瞬間気まずそうな顔して男子生徒の輪へと向かった。
助けを求めたくてもなぴくん、あまねくんは微笑みながらこちらを眺め、
女子生徒はあーるん。先輩に黄色い歓声を挙げ、
そあらくんを含める男子生徒は大して面白くもないであろう話に花を咲かせ、こちらを見ていなかった。
恥ずかしさに押しつぶされ今にも泣きそうになったが、
救いの手を差し伸べたかのように予鈴が鳴った。
嵐が去った。そう思っていた。
しかし、そんなことは無かった。
大して関わりもない、女子が話しかけてきた。
私自身囲まれることが苦手だったので、人が壁のように見え、少し怖かった。
いち早くこの状況を抜け出したかったから、咄嗟に嘘をついた。
そう言って自分の席へ戻っていく。
内心ほっとしているが、先輩には嘘をついてとても罪悪感がある。
やがて、本鈴が鳴り先生が入ってきた。
早く放課後になってほしい。
そう思う反面、放課後にならないで。
そう思ってしまう。
そう考えていても、時間は止まることなく進み続ける。
いつの間にかお昼休みになっていた。
いつの間にか時間が経っている。
そう考えると不覚にも恋してるんだなと思ってしまう。
放課後になることを喜ばしく思う自分と怖がる自分が対立し頭が痛くなる。
しかし、授業には出られるだろうと判断し教室へ足を進めた。
その間も考え事をしていたため意識が戻ると教室の目の前まで来ていた。
静かに自分の席へ戻る。
何気ない動作でも緊張で足や手が震える。
時間が過ぎていくにつれて、どんどんと緊張が大きくなっていく。
今日の授業の内容は1ミリも頭に入っていない。
そして、また、いつの間にか今日最後の授業が終わった。
もう放課後になってしまった。
緊張からか自分から先輩の教室に足を向けることが出来なかった。
すると、後ろから声をかけられた。
うんうん。
そう言うようにあまねくんとそあらくんは頷く。
背中を押されやっと足が進む。
先輩の教室に行くのは気が引けたがそれにかわまず足を進めた。
しかし、教室に着く前にあーるん。先輩の姿が目に止まった。
行くか行かないかを考えていたときに時間がかなりたっていたようだ。
そう言って笑った先輩は優しかった。
そう言い、手を引っ張ってきた先輩は、私に負けず劣らずの緊張をしていた。
掴まれた腕から感じられる先輩の脈拍はかなりと言っていいほどに早かった。
しばらく歩いていくと生徒会室に着いた。
すると足を止め、こちらを見る先輩。
いつになく真剣な眼差しだった。
そんな前のこと覚えててくれてたんだ。
あのときは少し寂しさを感じられる目で微笑みながら、
ごめん。
そう一言告げられた。
でも、今回は違かった。
私は無言で泣いていた。
あんなにも叶うはずがないと思っていた恋が叶ってしまったから。
私が泣いていることに気づいた先輩は慌てていた。
それを見て笑ってしまった。
そして微笑みながらこう言った。
そして、2人で抱き合った。
その際、何度も「好き」と言いながら。
私の好きな人には好きな人がいました。
しかし、それは昔のこと。
今では、
私の好きな人は私のことが好きでした。
Fin.
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。