あなたside
朝、目が覚めた
いつも声をかけてくれるお兄ちゃん
パジャマから制服に着替えてリビングへ行き
朝ごはんを食べて学校へ行く
何も変わらない日常だ
親はあなたと関わらないようにしている
だから私は静かに家を出る
昔はずっとお母さんが作ってくれてたのに
お兄ちゃんがお弁当が要らなくなってから
ずっとお母さんは作らなくてお兄ちゃんが
お弁当を作ってくれるようになった
お兄ちゃんも忙しいはずなのに
リオンはあなたになんか構わんでもいいのに
人気者と嫌われ者一緒におったらあかん
それぐらい自分が1番わかってる
毎回こんなこと言ってくれる
リオンは優しいからこんなこと言ってくれるんだよね
リオンは前のドアから元気よく入る
私は後ろのドアから静かに入る
これもいつものルーティーン
リオンに向けられるキラキラな笑顔
きっとこの子達はリオンが好き
私はただの邪魔者なんだ
学校へ入るとリオンはもっと別の世界の人間に
私と同じ世界にいる人なんていないんだ
やっぱりいつもと同じことしか起きない
こんな日常もう終わりにしてもいいのかな?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!