第3話

地獄日々②
36
2021/08/11 13:22
教室を追い出された私は、行くあてもなく街中を彷徨っていた。

両親のことや桃子のことをアレコレ考えていると、懐かしい光景が目に飛び込んできた。
愛沢未来
愛沢未来
ここ…懐かしいな
ここは幼い頃、桃子と遊んだ公園。

目を細めてると、あの頃の思い出が次から次へと蘇ってくる。


あの頃は本当に楽しかったなぁ…。

ここで日が暮れるまで遊んでたよね。

空まで届きそうなぐらいブランコを漕いで。


その時桃子は、私にこう言ったよね。
愛川桃子
愛川桃子
未来。私達これからもずっと親友でいようね?死んでも親友なんだから!
愛沢未来
愛沢未来
桃子…もちろん!大好き
愛川桃子
愛川桃子
私も未来のこと好きよ。永遠の親友でいてね
愛沢未来
愛沢未来
うん!
そう言って指切りしたっけ。


まだまだ幼かったあの頃の私は、純粋に永遠を信じていたんだ。

これからもずっと、何があっても私達は親友だと。

切っても切っても絶対離れない、友情だって。

微塵にも疑ってなかった…。


でも、そんな信用も長くは続かなくて。

桃子、あなたは私を裏切った。



私達の友情は永遠じゃなかったの?

どうしてあなたまで私を冷たい目で見るの?

今だって私はあなたのことを信じている。


私達の友情は永遠だって…。


こう思っている私って、わがままなのかな?

ウザいと思われてしまうのかな?


どんなに足掻いても答えは見つからなくて。


ただ、次から次へと瞳から涙が出てくるばかりだった…。



愛沢未来
愛沢未来
ただいま…
誰もいないってわかってるのに、つい声を出してしまう。


私の声に誰でもいいから、応えて欲しかったのかも知れない。

ふと電話機に目を向けると、留守電が何件か入ってるのに気づく。


私はその留守電を一切確認することなく、すべて削除する。



はあ…今日もか。


毎日のように何件もかかってくる無言電話。


留守電も今日に始まったことではない。


最初は恐怖で震えが止まらなかったけど。


今はもう半分諦めている。


玄関に貼られている紙を見ても、動揺しなくなった。



慣れ、って怖いよね。

本当は辛くて傷ついてるはずなのに…強がっちゃって。



こんな私だからいじめられるのかな?

良い子ぶってるって思われるのかな?


もういじめに抵抗するのも疲れたよ…。


私の心は既に悲鳴をあげているけど、それを無視している。


その時虚しい空間に、大音量で電話が鳴る。


出たくない…でも出てしまう私。
愛沢未来
愛沢未来
…もしもし?
無言電話
……
お決まりの無言電話。


本当に気持ち悪い…。
愛沢未来
愛沢未来
…もしもし!?
少し声を張り上げて言うと、
無言電話
死ねよ!
ガチャン。


そう暴言を吐き、思いっきり電話を切られた。



はは…「死ねよ」かあ…。


出来ることなら私も死にたいよ…。

生きてるのが辛いよ…。


生きてても一人ぼっちなら、死んだ方がマシよ。

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