『 amou side 』
この世界は、俺からしたら全部気持ち悪いもの。
色がついているのに、その色はまるで俺を拒絶しているみたいで。
俺のサイドエフェクトは、見たものの強さ等が色でわかるもの。
でも、こんなものいらなかった。
でも、君に出会えてから少しだけ変わったの。
このサイドエフェクトがあってよかった、って。もっと君の色を見ていたいって思えたの。
だって、あなたさんの色はキラキラしてて俺を包み込んでくれるような温かさがあったから。
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きっかけは些細なことに過ぎなかった。
この子が私に懐くなんて思いもしなかったけれど、どこか寂しそうで壊れそうなこの子を見ていると無性に手が伸びてしまう。
魂がゆらゆらと私に近づく。甘えているような、寂しそうな魂が。
この子はサイドエフェクトのせいで色が決めつけられている。
苦しくて、理解して欲しくて、助けて欲しくて。
そして結局、誰にも見て貰えなくなった。
私にもそんな気持ちが分かる気がする。幼い頃からサイドエフェクトがあったせいで周りから気味悪がられてたりしたことだってある。
だからこそ、16歳のこの子がこんなにも背負ってるなんて、私は許せない。
ブラックトリガーだって、辛いことがあったのかもしれない。いや、これは勝手な決めつけか。
それでも、私は何度でもこの子に手を伸ばす。
この子が幸せだって、笑えるような世界になるためにも。
ボーダーのみんなが幸せだって言ってくれるような世界になるために。
例え、その時私がこの世にいなくても。
「私は何度でも、手を差し伸べる。」
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「あなたさん」
「つきひこ、どーしたの?」
「美味しいとこ見つけた、いこ」
「いいよん。予定空けとくねー?」
「うん。」
俺とあなたちゃん先輩が話している途中に天羽先輩がやってきて、天羽先輩はあなたちゃん先輩に気づくとすぐにこっちに来た。
2人ってあんまり仲良さそうに見えなかっつけど、仲良いのかな?
あなたちゃん先輩は相変わらず色んな人と仲いいよなぁ。
「あなたちゃん先輩って色んな人と仲いいですよねー!」
思っていたことをまんまに口に出すと、あなたちゃん先輩は少し固まったあと、ふわっといつものように笑った。
「だって、私恵まれすぎてるもん。」
ゆるゆるといつもの様に笑うあなたちゃん先輩に少しだけ嬉しさを覚える。
あー、なるほど。いずみん先輩とよねやん先輩が惚れたのもここか。
俺はあなたちゃん先輩に恋愛感情はないものの、慕っていて。それであって大好きな先輩だ。
そんなことを話していると天羽先輩が少しだけ不機嫌そうな顔をしていた。
お、これは妬いてる顔だ!!
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。