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第3話

熊のおはなし
48
2020/08/25 16:39
いつのまにか朝日は登り、熊は大きな音で目が覚めた。

バタン、という音。

あの物体から出ていた。

中にいる小さな人が、物体をガチャガチャといじっている。

なんだか面白そうだったので、熊も物体をガチャガチャといじってみた。

すると、物体の一部が自分に向かって開いた。

小さな人は、熊を見ると言った。

「お父さんとお母さん、酷いのよ。私が寝てるのをいいことに、囮にして逃げたの。」

熊にはさっぱりわからない言葉だったが、明らかに怒っていた。悲しんでいた。

熊はなんだか放っておけなくなり、食べるのも忘れて座り込んだ。

「あなた、ずいぶん大きいのね。私が持ってるクマちゃんより、ずっと大きい。」

「お腹空いてるの?だから食べようとしたの?」

「返事はしてくれないのね。」

「私、あなた。もうすぐ1年生なの。あなたは?」

「.....答えてくれないのね。いいわ。くうちゃんで。」




これが、熊とあなたの出会いだった。

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