その熊は飢えていた。
最近の地球、特に森はバランスが取れていない。
あまりの飢餓に、熊の意識は狂っていた。
愛する子や妻でさえ食べてしまった。
つい最近まであった無様な骨も、もう熊の胃の中だった。
飢えに耐えながらそこらへんをフラフラし、何かが通ればたとえ人工物であろうと飲み込む。
もちろん、最近遭難者が増えているのも熊が原因だった。
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第2話 熊のおはなし
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました！