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第4話

『――世界で一番、好きって言って』
白鳥 音花
白鳥 音花
優紀お兄ちゃん!ごめん……待たせちゃって
 日も暮れはじめた夕方の公園。ここで、あたしと優紀お兄ちゃんは待ち合わせをしていた。結局、真実に言われた通り精一杯大人っぽい恰好をしてみた。軽い化粧もしたし、あたしの持っている服の中で一番大人っぽく見える紫色のワンピースを着てみた。あんまり似合っていないかなぁって思って、髪型もちょっと大人っぽくしてみたりした。

 お母さんもお父さんも、あたしが優紀お兄ちゃんのことが大好きなのは知っている。だから、応援してくれていた。……お父さんはちょっとさみしそうだったけれど。
天川 優紀
天川 優紀
ううん、全然。一週間ぶりぐらいかな。家が隣なのに、会わないなんてすごいよね
 優紀お兄ちゃんはいつも通り、何でもない風にそういう。

 確かに、ここ一週間、あたしと優紀お兄ちゃんはあっていない。何故ならば……あたしが避けていたから。なんだか、告白するとなると恥ずかしくて、あたしはいつもよりも早く家を出たり、優紀お兄ちゃんが帰ってくる時間帯は外に居ないようにもした。
白鳥 音花
白鳥 音花
そ、そうだ、ね……
 あたしは、それしか返せなかった。それでも、優紀お兄ちゃんは気にした様子もなく。それが、なんだかさみしかった。あたしと会えなくても、良いってことなのだろうか?そんな風にネガティブな方向にばかり考えてしまう。
天川 優紀
天川 優紀
あ、そうだ。音花、誕生日おめでとう。今日で十七歳、だっけ。なんか……大人になったよね
 そうしみじみと言う優紀お兄ちゃん。そりゃそう、だよ……。

 だって、あたし優紀お兄ちゃんの隣に並びたくて、必死に早く大人になろうとしてたんだもん。
天川 優紀
天川 優紀
なんていうか……音花が隣の家に来たのが、昨日のことみたいに思うよ
白鳥 音花
白鳥 音花
……あたしも、だよ。あたし、白鳥家に引き取られて良かったって思ってる。優しいお父さんとお母さん。大切な親友。みんなに出逢えてよかった。でも……一番出会えてよかったのは、優紀お兄ちゃんなんだ
 間違いなく、白鳥家に引き取られたから、優紀お兄ちゃんに出逢えたのだ。それは、確信を持って言える。
天川 優紀
天川 優紀
……そう思ってくれていたなら嬉しいよ。俺も、音花に出逢えてよかったよ。こんなに可愛い妹分が出来た
 その言葉に、胸の奥がズキンと痛んだ気がした。「妹分」と言う言葉が、辛かった。
白鳥 音花
白鳥 音花
(……でも、大丈夫。あたしは今日、ひとつ大人になるんだ……)
 この恋が実るか、散るかは分からない。

 ただ、分かるのはどっちにしてもあたしは大人になると言うこと。

 大人への――階段を一歩上るということ。
白鳥 音花
白鳥 音花
ゆ、優紀お兄ちゃん!
天川 優紀
天川 優紀
……どうしたの?急に
 思わず叫ぶようになってしまった。

 胸元で組んだ手に、力が入る。

 がんばれ、がんばれ、あたし。

 がんばれ……白鳥音花。
白鳥 音花
白鳥 音花
あ、あたし……まだ、好き、なの。……優紀お兄ちゃんのこと……
 その言葉に、優紀お兄ちゃんが息をのんだ気がした。

 フラれるのは、怖い。でも、続けなきゃ。伝えなきゃ。あたしは――あの約束を胸に、生きてきたんだから。
白鳥 音花
白鳥 音花
だ、だから……あ、あたしは世界で一番優紀お兄ちゃんが好き!だから……あたしに一言だけでいい、好きって言ってください!たとえ、それが妹分に向けた感情でもいい。だから……世界で一番、好きって言って!
 それが――あたしの覚悟、だから――。

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矢桐 月火
矢桐 月火
気まぐれ物書き。 斎宮要とかいう名前でもちまちまやってます。 恋愛ファンタジーメインで書いてることが多いです。 チャット式小説は久々なのでうまく書けるかはわかりませんがよろしくお願いいたします。 逆ハーレム、ヤンデレ、溺愛が大好きな人間ですので、そちら多めになります。 大したことを呟かないTwitterやってます。 *プロフィール画像は有償にて描いていただいたものです。保存、転載等は一切禁止です。
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