第2話

小五の冬あたりのお話
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2018/06/11 06:43
僕はクラスで、良く言うと丁度いい、悪くいうと中途半端な立ち位置にいた。気が強いヤンチャな奴らとも、全く話さない内向的な奴らともいい具合に関わり程よく距離を置いて生活していた。その生活が楽しかったかと言えば微妙だが楽しくないことはなかったので変わろうともしなかった。

そこに、彼女が転校してきた。

名前は、確か、七瀬陽菜。

僕は彼女に一目惚れしすぐに告白して付き合い始めクラスの奴らから嘲笑われてもものともせず、今までの中途半端な日々から抜け出した。




…なんてことは、少なくとも起きなかった。彼女との間に起きたこととすれば、席が左斜め後ろだったことくらい。僕は彼女に好意を抱くことも、ましてや告白することも、付き合うなんていう行為さえ知らなかった。

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