自己紹介は少し苦手である。名前をバカにされたりするからだ。
もうすぐ私の番だ。
(怖い。バカにされたくない。でも、ここを乗り越えないと私の学校生活が終わる。)
私は明香里の方を見た。明香里の目は輝いていた。まるでキラキラ光るダイヤのようだった。
きっと彼女はこれからの学校生活を楽しみにしているんだろうな。
(ちょっと、堅苦しかったかな…。でも、周りの人は気にしてないみたい。)
隣の列に座っていた人が私に話しかけてきた。
(うそ…。今、声に出ちゃった!?どうしよう…馬鹿にされる。嫌だ。怖い。怖い。)
彼はほっとしたような顔をしてこっちを見て笑いかけた。
そう言って、先生は教室を後にした。
明香里がいつものように後ろから抱きついてきた。
隣の列に座っていた人ががまた話しかけて来た。
彼の前に座っていた人が彼に言った。
(友達なのかな?)
これをきっかけに私達は友達になったのだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!