第4話

第三章 お出かけ(1) by,珠莉
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2019/02/16 04:56
明香里(あかり)
ねぇねぇ!今度4人でどっか行かない?
信彦
それいいね!楽しそう!
良平
俺もちょうど暇だったし、行ってやってもいいぜ?
信彦
って、本当は行きたいんじゃないの?
明香里(あかり)
あはははは。ほんとに良平くんは素直じゃないんだから〜(笑)
ねぇ、珠莉も行くでしょ?
珠莉(じゅり)
う、うん。多分行ける…。
良平
多分?
明香里(あかり)
あっ、そうだった。
珠莉の家は厳しいから親に相談しないとダメなんだよな〜。
そう。私の親はとても厳しい人だった。
"夏場は17:30 冬場は16:00"という門限があったり、
友達とLINE等で連絡先を交換する時は、親の許可を貰ったり、
我が家には色々な決まりがある。
もし、門限を破ったり、成績が下がったりすると何をされるかわからない。
珠莉(じゅり)
なんか、ごめんなさい。
信彦
き、気にしなくてもいいよ!ねぇ、良平さん?
良平
ぉ、ぉぅ…
木村くんはボソッと呟いた。
(やっぱり、迷惑だったよね…。)

小学校の頃から周りが羨ましかった。
「この間、友達とデパートで買い物したんだぁ〜!可愛いでしょ!」
「前に撮ったプリクラやばかったよね!」
周りはそんなことをいつも話してた。
(いいなぁ〜。私も明香里と行きたい。)
ある日、私は親に相談した。
「ねぇねぇ。今度友達とデパートに遊びに行ってもいい?」
「ダメだ。」
親はすぐに答えた。
「なんで??他の人は友達とデパートに行ってるんだよ!」
「デパートなんて親と行かないとダメだろ。もし悪い人がいたらどうするんだ!」
「っ...ごめんなさい。」
私はなんとも言えなくなった。
確かに友達と2人だけで遊びに行くことは少し怖い。
それに親に迷惑かけたくない。

その日から私は友達の家でしか遊ぶことはなかった。
明香里(あかり)
あっ!そうだ!
ねぇ、珠莉。"図書館で勉強する。"という設定で親に言ったら?
珠莉(じゅり)
つまり、ウソをつくって言うこと?
明香里(あかり)
まぁそうなるけど…。でも、遊びに行けるんだよ!
だって、珠莉行きたがってたじゃん!せっかくのチャンスだよ!
良平
親に少しぐらい嘘ついてもいいんじゃないの?
俺だって何度も怒られたことあるし…色々学べるんじゃないのか?
確かにふたりの言う通りかもしれない。
私はずっと親の指示に従ってきた。でも、この機会を通して色んなことを学べるかもしれない。
珠莉(じゅり)
分かった。私、親に言ってみる。
信彦
頑張れ、珠莉ちゃん!
私はスマホを取り出して親に連絡した。
"今度、友達と図書館で勉強会をするんですが、行ってもいいですか?"
(送信)
LINE♪
携帯が鳴った。親からだ。
信彦
どうだった?
珠莉(じゅり)
"わかりました。行ってもいいですが、気をつけていきなさい。"
だって...
明香里(あかり)
…っ!!やったー!!
信彦
やったね!珠莉ちゃん!
良平
良かったな、赤嶋。
心の奥底から何かが込み上げると同時に涙があふれてきた。
(なんだろう…嬉しいはずなのに、涙が止まらない。)
珠莉(じゅり)
わ…たし、私も行って…い、いの?
お、親に、迷惑かからない?怒られない?
良平
っ…!!
私は泣きながら言った途端、木村くんが私を包み込むように抱きついた。
明香里(あかり)
えっ!!良平くん!?
信彦
ちょっ!!良平!?
珠莉(じゅり)
あ、あの…。き、木村…くん?
良平
もう、迷惑じゃない、怒られない。
なんでもお前らしく出来るんだよ、珠莉。
もし、誰かがお前の生き方を邪魔するなら…俺は、…
俺はそいつを許さねぇ!絶対にだ!
だから、大丈夫。俺がそばにいるから。
木村くんは必死に私のことを抱きしめた。
明香里と信彦くんは呆然としていた。
(こんなの…恥ずかしすぎる。)
明香里(あかり)
あっ!もうすぐ下校時間!早く帰るよ!
信彦
そうだね!早く帰ろ!
良平
お、おう!じゅ…赤嶋、行くぞ!
珠莉(じゅり)
は、はい。
そう言って教室を後にした。

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