3時間目の授業は役割を決めるそうだ。
(どうしよっかな…。)
そう思った時━━━。
さすが幼なじみの明香里。私の事なんてお見通しだよね…。
明香里はいつもそうだ。
中学校の頃のことだ。私が具合悪かった時も明香里が
と言ってくれたし、リーダーから「これ、やってくれる?」と言われた時も
と言って手伝ってくれた。
私はどんなときも明香里に助けられた。いつも、いつも、いつも、…。
キーンコーンカーンコーン♪キーンコーンカーンコーン♪
各教科の係は2人ずつ。
(木村くんと一緒かー。明香里と離れたけど大丈夫かなぁ〜…。)
いつもは私と明香里でやってた。けど、なんか怖い…。
でも、せっかく木村くんと仲良くなれたからいいかな。
次々に係が決まった。
次は学級委員を決めないと…。
誰も手を挙げなかった。
(どうしよう…。ここで挙げないと皆の迷惑になる。)
これでいい。これでいいんだよ…ね。
後は男子のみ。
(全員)はい。
(全員)ありがとうございました。
私達は職員室に向かった。
なんでわかったんだろう。そんなに顔に出てたかな…。
私達は職員室に着いたあとの帰り道、一言も話さずに黙々と歩いた。
(私…変なこと言っちゃったかな。)
私は彼を見た時、彼の顔は悲しそうで、どこか悔しそうだった。
(やばい。どうしよう…。)
何を話せばいいか分からなくなった。
結局、私達は何も話さず教室に戻った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!