あいつに銃で打たれてからの記憶がないけど
あの変態の私に対する対応で大体の状況がよめた
その、銃の効き目がさめたのは先輩が来た時だった
あーまずいな、と思いながら
私は変態を好きになっている役を演じた
先輩はきっと大丈夫だと、助けてくれると信じた
だけど、先輩が私の腕を掴んだ瞬間見えたんだ
あの変態の手にある銃が先輩の方を向いてるのが
一瞬時が止まったようだった
それが溶けた瞬間銃声がした
それと同時に朱い液体が白い床についた
時間差で、うそ、と言ってしまった
この役になりきれない私の大きなミスだった
私のせいで傷つけてしまった
怖かった
この仮面を取りたかった
捨てたかった
壊したかった
今すぐに先輩に抱きつきたいと思った
私は先輩が大好きだから
だから、この役を捨てた
先輩は驚いていた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。