第113話
No.111
だから、あそこにダンボールあるのか…
そう思いながらわたしは部屋を見渡す
一緒にね…
一緒に住むか…
え!!!!
心の中で驚いてだはずが思わず声が出てしまった…
わたしは首を横に振って答える
廉は簡単に一緒に住もうとか言うけど
そんな簡単じゃないこと、わたしはわかってる
颯人の時も最初は少しギクシャクした
どんだけ好きでもやっぱりいろんなことの
捉え方や考え方の価値観の違いがある
見たくないこと知りたくないことを身近で見て
全て感じてしまうから…
前を向いて座ってた廉が体の向きを少し変えて
横に座ってるわたしの方を向く
真っ直ぐにわたしを見つめてくる
わたしは何も言えずに下を向き目を逸らす…
そんな軽く "いいよ" なんて言えない
2人で住んだらすぐにファンにバレへん?
仕事に影響出たりせんかな?
ううん…
なによりも
そんなことよりも
嫌われるのがこわい
距離が近くなりすぎてダメなとことか見られて
フラれるのがこわい
"何があっても嫌いにならないでね"
そんなこと言えない
言いたいけど言えるわけない
わたしは顔を上げ廉の目を見て少し考える…
何かを悟ったのか、わたしを スッ と抱き寄せた
抱きしめてくれた廉の腕は暖かくて左手が
わたしの後頭部に添えられる
そのまま頭をゆっくりと撫でてくれて
わたしが感じた不安を全てかき消してくれる
そんな気がした