颯人は驚いたわたしを優しい目で見つめながら話す
ゆっくりとひとつひとつの言葉を絞り出すように話して
颯人はわたしを強引に引き寄せ
ギュゥッッッ
さっきとは違い強く抱き締める…
わたしが名前を呼ぶと抱きしめられてる腕が緩む
颯人は下唇を噛み締めながら苦しそうに話す
沈黙が続き、時間だけが過ぎる
廉くんに会えるって浮かれてたわたしはもういない
颯人の想いを聞いてしまい心が苦しくなった
でも言わなきゃ…
ちゃんと。
わたしは沈黙を破る決意をして静かに深呼吸をした
"わかってたよ"
そう聞こえてきそうな感じで颯人は微笑んだ
そう言うとしゃがみこんで頭を抱え込む
わたしも同じようにしゃがんで話しかける
正直な気持ちをわたしはちゃんと話した
真っ直ぐに彼の目をみて真剣に。
わたしの頬に手を添えて静かに話すと
悲しい目をしながらそっと手を引いておろす
"ううん"
そう言ってくれたかのように
颯人が笑顔で首を横に振る
静かでクールな颯人が急に叫び出す…笑
2人で笑いながら立ち上がる
颯人が手を振って歩いて行く
わたしも手を振り…
ひとまず駐車場入り口まで戻る。
彼が見えなくなるのを確認すると大きなため息が出る
すごく疲れた…
まさか颯人が来るなんて…
しかもまだわたしを好きでいてくれたなんて…
ってか!
廉くん!!!!
そう思い携帯を見ると
廉くんからメッセージが来てた
このとき、わたしは知らなかった
颯人とのやりとりを誰かが見てたなんて…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。