まふゆside
今、自分が瑞希の家にお世話になっているという
事実がなんだか信じられない
お母さんからはたくさん着信が来ているし
帰ったらどんな目にあうか想像もつかないけれど
あなたの下の名前が助けてくれる_______
そう思うと、自分でも驚くくらい安堵した
もうずっと何も感じなかったのに
あなたの下の名前の笑顔を見たらなんだか心が暖かくなってくる
瑞希の家に来た時に、瑞希に言われたことがある
そう言って瑞希は笑った
自分をそうやって想ってくれる人がたくさんいて
あなたの下の名前も無事で
まぁ……男の人の家にいるというのは不本意だけれど。
安心できるし、” いい子 ”でいなくてもいい
そう思えた
何年も空いたままの私とあなたの下の名前の時間が
ゆっくりと、取り戻されていく。
_______そう、感じた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。