類side
深夜、喉が渇いて目を覚ました僕はリビングで水を飲んだ後、自室に戻ろうとしていた
たまたまあなたの下の名前くんの部屋の前を通った時、部屋の中から聞こえたすすり泣く声に耳を澄ます
あなたの下の名前くんはかっこいい
お姉さんを救うために一生懸命で
そんなところがかっこよくて、同時に可愛くも思える
泣いてる彼女を放っておくことも出来ず、僕は彼女の部屋をノックした
しばらくの沈黙の末、かすれた声が聞こえる
がちゃ、と彼女の部屋を開ける
涙は拭ってしまったのか目元が赤い
まるでダムが決壊したかのようにあなたの下の名前くんはボロボロ泣いた
散々頑張っていたんだ、彼女は
これからも頑張らせるのはなんだか忍びないが、あなたの下の名前くんの決めたことだ、僕に何か言う筋合いはない
僕には寄り添うことしか出来ないから
せめて、彼女の心の拠り所になりたい
あなたの下の名前くんは小さい
年は一つ下だし
性別も違う
僕は同年代でも大きい方だし
そんな僕と比べれば世の女性は大体小さいの範囲内だけれど
僕の腕の中で泣くあなたの下の名前くんは人一倍小さく感じられた
この小さな体で、誰かを救おうと思える
僕にとって彼女はヒーローのようにも見えていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!