第37話

魔法
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2019/08/29 10:06
あなた

れ、玲於さん…?

玲於さんの声が聞こえたのは、
佐野玲於
何?
私の耳元で
あなた

ち、かいんじゃ…?

佐野玲於
…そ?
あなた

はい。

佐野玲於
顔拭いてあげてるんだけど。
あなた

あっ、有難いです。

佐野玲於
ん。
この距離、すごく、やばい。


やばい越えてる。


玲於さんって、悪魔だ。


いい意味だけど!


悪魔なんだけど…さ、


ゴシゴシとは拭かず、優しく丁寧にタオルで拭いてくれる。


タオル越しでも玲於さんの手の温もりが


伝わってきてもう最高。


じんわりと暖かいのも玲於さんの手ならでは。
佐野玲於
よし、おけ。
あなた

ありがとうございます。

佐野玲於
りんごじゃなくなった?
あなた

…それは、わかんないです!

佐野玲於
あなたってなんか面白いね
あなた

…初めて言われました。

佐野玲於
嘘だ。
あなた

本当です。

玲於さんと話してたらお皿洗いなんかそっちのけ。


なかなか終わらない。
佐野玲於
あ、11時じゃん!!
ごめん、夜遅いのに。
あなた

いえいえ!オムライスありがとうございました。

玲於さんはキッチンの横の玄関で靴を履きながら
佐野玲於
なんであなたがお礼言うの。笑
こっちが言わなきゃなのに。
あなた

いや!食べてもらったんで!

佐野玲於
なにそれ、笑
まぁ、とりあえず、ありがとう。うまかった。
あなた

…はいっ、またいつでも!

佐野玲於
それは助かる。さんきゅ。
あなた

おやすみなさい。

佐野玲於
おやすみ。
出ていった玲於さん。


途端に寂しくなる私の部屋。


お皿洗いを終えて、リビングに戻る。
さっきまで玲於さんここに居たのにな。
寂し…
玲於さんの部屋と1番近い壁に手を当てる。


玲於さん、何してるかなぁ…


今帰ったばっかりなのに考えてしまう。


それと、あのLINEの内容が浮かぶ。
あなた

嬉しすぎるよ…!!!

反対側に置いてある思ベッドに思わず倒れ込んで


壁に足をぶつけた。
あなた

いった!!!

小指…がぁ…


いてててて…
でも、嬉しいから痛くない。


痛いけど、痛くない。


変な矛盾だ。


これも、玲於さんの魔法ってやつ…

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