第49話

ピーチティー
3,015
2019/09/01 09:02
ティーカップを洗っていたら目の前を通り過ぎる影。
あなた

あっ…

玲於さんだ、


私の中のセンサーが玲於さんだと叫んでいる。
インターホンを押してくれる前に


ドアを開けた。
あなた

玲於さんっ!

そこにはびっくりしたように後ろの柵にもたれかかっている


かっこいい玲於さん。
あなた

お疲れ様です!!!!

佐野玲於
おう…笑
びっくりした。
あなた

玲於さんってすぐ分かりましたよ ~ !

佐野玲於
ふはっ、なんだそれ。
例え、フード被ってたってマスクしてたって


ポケットに手を突っ込んでもう誰だかわかんない姿だけど


好き


っていう感情はいつにも増して募るだけ。
あなた

何か御用ですか?

佐野玲於
さっき、そこで会った。
あなた

会った?

佐野玲於
吉野。
あなた

あ ~ 、

玲於さんその時に帰ってきたんだ。


疲れてるのに悪いな…
佐野玲於
何もされなかった?
あなた

え?

佐野玲於
あいつに。
マスクを外してやっといつもの玲於さんが現れる。
あなた

何もされてません…よ?

ほっとした顔をする玲於さん。


なんだかよく分からないけど嬉しい。笑
佐野玲於
なぁ ~ 、俺も紅茶飲みたい。
あなた

玲於さんなんで知ってるんですか。

佐野玲於
いいの ~ 、
お邪魔しま ~ す!


と、入ってきた。


フワンと香る玲於さんの香水の匂い。


いい香り。
あっという間に私の家の匂いに変わって


玲於さんの香りは消えた。
私の部屋にいる玲於さん。


夢みたいだなぁ…


ずっと続けばいいのに。


寒っ、とソファで丸まった玲於さん。


自分の家みたいに私の家でくつろいでくれてる。


嬉しい…嬉しすぎる。
つい、玲於さんのことじっと見すぎて
佐野玲於
なに?
あなた

なんでもないで ~ す。

ワクワクしながら紅茶を作る。


玲於さんのためだもん。


上手に作りたい。
あなた

玲於さん、レモンティー飲めますか?

佐野玲於
ピーチティーある?
あなた

ピーチティー?

佐野玲於
ある?
あなた

はい!

あったかな…


ちょっと怪しく思う。
紅茶の入っている箱を取り出してピーチティーを探す。


あったあった!!!


残り最後だったぁ…
そうだ、お母さん、1番ピーチティー好きだったわ。


残り持ってきたから少ないんだ。
私はピーチティーよりレモンティーの方が好き。
だけど、玲於さんがピーチティー好きなら…


私も好きになりたい。


単純過ぎる。
この動きさっきもした。


けど、さっきより緊張が増す。
あなた

はいっ…玲於さん。

寝転んで携帯を見ていた玲於さんは


嬉しそうに起きて
佐野玲於
紅茶とか久しぶり…
目を輝かせてまるで少年のような綺麗な顔をする。
好き…
ゆっくり口を近づけて飲む仕草。


やばい、大人…っぽ。
あなた

どうですか?

佐野玲於
…ん、めちゃくちゃ美味しい。
あなた

良かったです。

佐野玲於
卵焼きより紅茶特技にしたら?
あなた

玲於さん?

佐野玲於
うそうそ、笑
しかし、話す内容が…見当たらない。
なにかすること。
佐野玲於
あなたのは?
あなた

え?

佐野玲於
無いの?
あなた

はい、笑
ピーチティーもうそれで最後です。

佐野玲於
え、まじで。悪い。
あなた

いいですよ!気にしないでください!

佐野玲於
んなら、はい、飲んでいいよ。
玲於さんは玲於さんが飲んだティーカップを


私に差し出してきた。


ん…?


どういうこと?


これ、飲んじゃったらさ…
そう考えたらカアッッと顔が熱くなってきて
あなた

だ、大丈夫です!!

佐野玲於
分かった、照れてるんでしょ。
あなた

まさか ~ !

佐野玲於
照れんなって。早く飲みなよ。
S…


玲於さん、悪魔だ。
あなた

いいです ~ !!!
私もう飲んだんで!!

佐野玲於
…あいつとでしょ?
あなた

え?

佐野玲於
あいつの時と俺の時は違うから。
俺と居る時も一緒に飲んでよ。
なにそれぇ…


もう、心臓爆発しそう。
辛い。


痛い。
嬉しい。
変な感情が入り交じって訳が分からなくなる。
あなた

…なら、私、違うの作りま

キッチンへ、行こうとしたら


玲於さんに手を取られた。


当然、引き留められてるからキッチンには行けない。


玲於さんとずっと目が合う。
佐野玲於
いいから。
手が熱い…
玲於さんに掴まれた腕。


離された後でもずっと玲於さんの感覚が残る。
もう、玲於さんの顔見れない。


どうしよ。

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