ティーカップを洗っていたら目の前を通り過ぎる影。
玲於さんだ、
私の中のセンサーが玲於さんだと叫んでいる。
インターホンを押してくれる前に
ドアを開けた。
そこにはびっくりしたように後ろの柵にもたれかかっている
かっこいい玲於さん。
例え、フード被ってたってマスクしてたって
ポケットに手を突っ込んでもう誰だかわかんない姿だけど
好き
っていう感情はいつにも増して募るだけ。
玲於さんその時に帰ってきたんだ。
疲れてるのに悪いな…
マスクを外してやっといつもの玲於さんが現れる。
ほっとした顔をする玲於さん。
なんだかよく分からないけど嬉しい。笑
お邪魔しま ~ す!
と、入ってきた。
フワンと香る玲於さんの香水の匂い。
いい香り。
あっという間に私の家の匂いに変わって
玲於さんの香りは消えた。
私の部屋にいる玲於さん。
夢みたいだなぁ…
ずっと続けばいいのに。
寒っ、とソファで丸まった玲於さん。
自分の家みたいに私の家でくつろいでくれてる。
嬉しい…嬉しすぎる。
つい、玲於さんのことじっと見すぎて
ワクワクしながら紅茶を作る。
玲於さんのためだもん。
上手に作りたい。
あったかな…
ちょっと怪しく思う。
紅茶の入っている箱を取り出してピーチティーを探す。
あったあった!!!
残り最後だったぁ…
そうだ、お母さん、1番ピーチティー好きだったわ。
残り持ってきたから少ないんだ。
私はピーチティーよりレモンティーの方が好き。
だけど、玲於さんがピーチティー好きなら…
私も好きになりたい。
単純過ぎる。
この動きさっきもした。
けど、さっきより緊張が増す。
寝転んで携帯を見ていた玲於さんは
嬉しそうに起きて
目を輝かせてまるで少年のような綺麗な顔をする。
好き…
ゆっくり口を近づけて飲む仕草。
やばい、大人…っぽ。
しかし、話す内容が…見当たらない。
なにかすること。
玲於さんは玲於さんが飲んだティーカップを
私に差し出してきた。
ん…?
どういうこと?
これ、飲んじゃったらさ…
そう考えたらカアッッと顔が熱くなってきて
S…
玲於さん、悪魔だ。
なにそれぇ…
もう、心臓爆発しそう。
辛い。
痛い。
嬉しい。
変な感情が入り交じって訳が分からなくなる。
キッチンへ、行こうとしたら
玲於さんに手を取られた。
当然、引き留められてるからキッチンには行けない。
玲於さんとずっと目が合う。
手が熱い…
玲於さんに掴まれた腕。
離された後でもずっと玲於さんの感覚が残る。
もう、玲於さんの顔見れない。
どうしよ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!