はい、と広げられた玲於さんの手。
おいで、とされて私は玲於さんに抱きつく。
躊躇しなくてもいいんだ。
これからは。
まだ、恋人じゃないけど
気持ちは同じだ。
玲於さんから離れて自分の部屋に行く。
今までは自分の部屋に入る時
玲於さんに会いたいなぁ、って軽い感じだったけど
多分、私、両思いとなれば
ずっとそばに居たい人なんだなって思った。
重いって思われたらどうしよ。
玲於さん、嫌う?
玲於さんが部屋に入っていく寸前に放った言葉。
ずっとずっと、言いたかった。
じゃあな、と入っていった。
不器用に閉めたドア。
" 俺だって "
ですって!!!
はぁ、私、そろそろ…死ね?
いやいや、死ねない。玲於さんのために死ねない。
死んだとしても生き返ってやる。
自分の部屋がやけに居心地がよかった。
玲於さんといるとずっと体温上昇し続けて正直暑かった。
ひんやりと冷えた私の部屋がちょうど良かった。
ドスッとベッドに寝転がる。
途端にこみあげてくる嬉しさ。
その嬉しさのあまりこぼれ出す涙。
カレンダーに記入。
" 玲於さんと両思いになった日 "
文字の横に可愛くハートを書いた。
このカレンダー絶対捨てない。
額縁に入れてしまっておこうかな。
ピロン、
机の上で震える携帯。
手に取ってみてみたら
「 玲於さんとは話せた? 」
心配してくれたのか北人からで
「 なんと両思いで死ぬかと思った 」
「 は!?まじ!? 」
「 北人があの時言ってくれなかったら私今頃… 」
「 良かったな、あなた 」
「 本当にありがとう 」
「 おう、んで、付き合ったの? 」
「 私が高校卒業してからだって言われた 」
「 さすが、大人だ 」
「 早く卒業したいけどしたくないような 」
「 なにそれ、笑 」
「 北人たちとお別れだから。 」
「 もう、可愛いこと言わないの 」
「 高校卒業しても会おうぜ 」
「 絶対会うよ!絶対だからね! 」
「 もちろん 」
ここで会話はストップして
いつの間にか眠りに落ちていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!