第8話

集中できません
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2019/08/24 22:40
私のベッドが恥に置いてあるだけの部屋を


キョロキョロと見渡している玲於さん。
佐野玲於
あれ、家具は?
あなた

その ~ 、まだ届かないんですよ。

佐野玲於
は?
あなた

ごめんなさい、持って帰ってくるのは
さすがに大きいし重いかと…

佐野玲於
あ ~ 、そういうことね。
あなた

はい…

やはり、ちょっと落ちる話し方。
どうしよ。


どうやって話を繋げようか。
玲於さんは飽きずに私のベランダから外を眺めて
佐野玲於
俺の景色と違う。
あなた

え?

佐野玲於
こっちの方が好き…
あなた

そうですよね。
夜になると都会の街並みが
光って見えるんです。

玲於さんの隣に行って同じように外を見る。
佐野玲於
へぇ、木で見えねぇんだよなぁ。
あなた

それは…残念で…

玲於さん意外と景色とか気にするんだな…


どうでもいいのかと思っていた。
意外…
佐野玲於
なんだよなぁ、せっかく
組み立ててやろうと思ったのに!
つまんな ~ 、と壁にもたれて座った。
あなた

すみません ~ 、笑

佐野玲於
別にいいけどさ。
家具届いたら言ってよ?
あなた

いいんですか?

佐野玲於
うん。暇だったらね。
あなた

はい

暇だったら


それは、あのシルバーボックスカーの中の人と


遊んでいない時…?


そう疑うとますます、玲於さんの存在が怪しく感じる。
佐野玲於
ねぇ、
あなた

はい?

佐野玲於
卵焼き作ってよ。
あなた

急ですね

佐野玲於
だめ?
あなた

…卵がないです。

佐野玲於
んなの、俺のあげるし。
あなた

でも…

佐野玲於
はいはい、卵の気分なの。早く行くよ。
玲於さんは私の手を取って玲於さんの家に移動する。


…柔らかい。


玲於さんの手。
けど、外に出てしまえば寒い空気が私を指すんだけどね。
…こんなことして玲於さんは彼女さんはいないのかな。


ふと思ったけど


こんなイケメンに彼女いないわけないよね!?


だめだ


そう思い、玲於さんの手を離した。
鍵を開けてた玲於さんは私の方を見て
佐野玲於
…ごめん
そう言って部屋に入っていった。
あなた

いえっ…

嫌じゃないのに…


玲於さんに彼女がいるんだと思ったら


いけないことだし…


しちゃだめだもん。
昨日見た玲於さんのお洒落な部屋。


今日は電気のついていない玲於さんの部屋。
電気ついてないぐらいで


オシャレさは変わらないのが玲於さん宅。
リビングに通り抜ける前にゆっくりと


壁に飾る写真に目を向けて歩く。
玄関側からの写真は


すごく若い…


高校生…?
あなた

玲於さん!

佐野玲於
ん ~ ?
あなた

これって玲於さんですか?

指をさして待ってたら玲於さんが来てくれて


どれ?


と、一気に距離が縮まる。
あなた

こ、れ…

佐野玲於
あ ~ 、俺の若い時、笑
あなた

ちょっと大人になりましたね。

佐野玲於
馬鹿にしてる。
あなた

してませんよ!

佐野玲於
これ、高3ぐらいかな。
あなた

かっこよさは抜けてませんね。

佐野玲於
…当たり前じゃん?
あなた

自分で言うタイプ…

佐野玲於
あなたが言ったんだろ。
サラッと私の事呼び捨てで呼んでくれた。
あなた

まぁっ…笑

佐野玲於
はいはい、卵焼き!
あなた

ああああ

玲於さんに押されてキッチンにやってくると
佐野玲於
ミッション、5分で作って。
あなた

え!?

佐野玲於
得意なんだろ ~ 、5分ぐらい余裕っしょ。
玲於さんの悪巧みの顔。


2回目…
あなた

頑張ります…

卵焼きは余裕だけど


時間を気にしたことはないな…
けどっ…
あなた

玲於さん向こう行っててください!

玲於さんがずっと目の前にいて見てくる!!


集中できません!!
佐野玲於
かっこいい俺に見られて集中できねぇの?
あなた

……カッコイイかはさておき、集中できません!!

佐野玲於
おい、こら。
コツンと、玲於さんからゲンコツが優しく降ってきた。
触れられた頭の感触。


じんわりと、体が熱くなっていくのを感じた。
…玲於さんって何者!?

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