109を散策して
良かった、と思っていたのも束の間。
近くのカフェに来てひと休みしていた。
ニヤニヤしながら言われました。
笑うことしか出来ない私。
オレンジジュースをストローで飲みながら
私のことを見てくる。
なにやら、ベラベラと話してしまった私。
あれ、今なんて言ったっけ…
やばい。
北人、玲於さんの仕事知らないっけ!
思わず、口が滑った…
なにやら、思いついたようにストローから口を離す。
それ以上思いつかないで…
そう心で願う。
バレた。
バレちゃった。
私は無言で頷いた。
そうだよね…
だって、テレビの中であんなに黄色い歓声浴びてたから…
人気なのかぁ…
けど、私は玲於さんが大好き。
玲於さんのこと思い出す度に心が暖かくなる。
幸せになれるんだよ。
恋してんなぁ、とわらう北人。
私って相当危険な恋しちゃってる…?
自分では気づかないけど
なんか、そうみたい。
各自電話し終わる。
北人に好きな人がバレてから
隣を歩くのがちょっと気まづい。
昔から秘密主義な私からしちゃバレてしまったことは
大惨事。
ソワソワして落ち着かない。
北人の顔色を窺う。
なんで?
北人、
なんでそんな寂しそうな顔しているの?
目も赤くなってる。
どうして?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。