玲於side
楽屋で隣にいる隼。
携帯のゲームをやってて生返事。
途端に、ゲームをやめて俺の方を向いた隼。
…俺何聞いてんだよ。
素直な隼らしい返答。
声の大きい隼。
慌てて隼の口を隠すももう手遅れ。
厄介な関西チームが来てしまったら逃げられない。
くそ、隼、ご飯奢らせよ。
いつの間にかメンバーが周りに集合してて
ニタニタと悪い笑みを浮かべながら来た亜嵐くん。
悪意大ありだ。
これは完全、隼が悪いでしょ。
すると、すぐ口を開いたのは亜嵐くん。
うわ、こいつ、悪!!!!
悪すぎる!!
このあとの楽屋は俺への質問攻め。
当然、答える気はなかったけど
…否定する気もなかった。
.
" お疲れ様でした "
スタッフの言葉を聞いてメンバーは解散。
あ、LINE…来てる、え?
咄嗟にはなってしまった1文字。
あいつが、オムライス?
…ちょっと危険な気がしたけど
心がドキッと温かくなった。
…いや、俺は、
亜嵐くんからそう言われて
みんなからも視線が集まる。
あいつが、初めて作ったオムライス。
そんなの食べないわけがないでしょ。
解散となって、近くでタクシーを拾って
気持ちはせかせかして家に向かう。
腕時計は10時をさしてて
寝てるかなって焦る。
また、泣かせたくないし。
アパートの前まで来て急いであなたの部屋の前に来て
インターホンを推す。
けど、なかなか出てこない。
もう1回…もう1回…
どこか行った?
もしかして、また、吉野ってやつ…と…
横から聞こえたあなたの声。
片手に大きな声カバンを持って長いストレートの髪を
夜風になびかせてぶかぶかな部屋着のあなた。
そうだった、雨降ってたわ…
良かった。
吉野じゃない。
…は?
俺、今、嫉…
弱々しい声で俺に聞いてくる。
そう言えば明るく笑顔になる。
可愛い…な…
改めてちゃんと入るのは…何気に初めて。
いつもドタバタしてたからな。
あなたが前に行って俺の前に立った時。
シャンプーの香りがすごく色っぽくて
めちゃくちゃドキドキする。
…こいつ、こんな可愛かったっけ。
今の俺はすごく熱い。
" 好きなら何歳差でも好きって言える関係 "
隼の言葉すっごく今、分かる。
年の差…か。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。