あれから…
一年後。
望の仕事も落ち着いてきた頃。
私達はこの頃お互いを空気としか思ってない。
いて当たり前みたいな。
そう。
倦怠期ってやつ。
私達にはないと思ってた。
でもあるもんやな。
こんな辛いって知らんかった。
[ガチャ]
何も言わんと出ていく望。
前までは[行ってきますのチュウ]してたやん。
なんで…?
いつも望の相談を乗ってくれるのは流星くん。
今日も電話かけてしまった。
もう頼らんとこって思ってたのに。
そうやって玄関のドアを開ければ流星くんが立ってた。
こうやって来てくれる流星くんイケメンやな。
いつの間にか泣いてた。
流星くんがキッチンに行ってココアを出してくれた。
望には迷惑かけたくない。
ジャニーズやし。
頑張ってるから。
流星くんは帰って行って私は紙に思ってる事を書いた。
[この頃お互いを空気としか思ってない。ずっとこのまま?そんなん嫌。望と楽しく過ごしたい。どっか遊びに行きたい。また甘えて欲しい。望と別れんの絶対嫌やわ。なんでこんな苦しまなあかんの?望は苦しんでる?望の笑顔いつ見た?名前いつ呼んでくれた?顔見たのいつ?チュウしたのいつ?もう覚えてないかも。迷惑かけたくないのに。迷惑ばっかりかけてるよな。ごめん。でも望の事めっちゃ大好…]
望side
この頃俺あなたと何喋ったっけ。
小さい声で言っても返事ない。
寝てるやんな。
リビングに行ったらテーブルに伏せて寝てる。
その下には1枚の紙?
俺はその紙を読んだ。
こんなにあなたが苦しんでた。
あなたに迷惑かけてた。
あなたが俺に遠慮してた。
俺ってあなたの彼氏失格やんな…
彼女の事なんも考えんくて。
最低やんな。
てか最後[大好き]って書こうとしてたんやんな。
寝てもうたんやな。
可愛い。
そうあなたの事を思うの久しぶりやった。
前までは一つ一つの動作に可愛いって思ってた。
でもこの頃いて当たり前みたいになってた。
久しぶりに合わせた目。
彼女を見て久しぶりに呼んだ名前。
久しぶりにお互い[ただいま][おかえり]って言った。
俺はあなたの手を掴んだ。
いつやった?
あなたに触れたん。
あなたを見たら泣いてた。
こんなにも辛い思いさせたんや。
なんで…
なんで俺。
俺はあなたを抱きしめた。
この温もりは久しぶり。
この後、お互いを確かめあったっけ…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。