8月半ば。天気は最高の夏祭り日和です
そして明日東京へ帰る。
北さんに会えるのは今日で最後なのかもしれない
愛佳からのline。
愛佳には全て話したし、凄く泣いてた。
愛佳に、楽しんでくる!っていつもの様に返す
後ろから大好きな、北さんの声
えっ……浴衣似合い過ぎて辛い。
もちろん北さんへの対応もいつも通り。
神社のお祭りなだけあって、凄い新鮮。
妖怪とか人間に紛れて居るんじゃないかってぐらい
雰囲気ある
彼女と来た事あるとか言われたらどうしようかと
思った
色々見て回りながらある物を見つける
走って駆け寄ると
躓いて転びそうになった
うん、その通りです…
なんて笑ってると、スっと手を差し伸べる
北さんの手はやんわりとしてて、安心感がある
北さんの方を見てみると何かを見てる
そこには黒の赤い斑点が付いた狐のお面だった
『えらいべっぴんさんやなぁ!』
『この黒い狐面は白の狐面とセットやねん!お嬢ちゃん可愛ええからおまけしたるわぁ!』
お金を払い、黒と白の狐面を受け取った
そう言って、北さんの頭に白の狐面を付ける
少し照れくさそうにしてる顔がまた一段と可愛い
狐面をつける
そんな一言で私の顔は熱くなる
必死に顔を隠すように、繋いだ手を解かぬまま
屋台へ向かう
たこ焼きは北さんが買ってくれた
たこ焼きを2人で食べて
北さんは何やら思い出した様に神社の奥へ進む
??
なにが?
いや、何の話?!
奥へ奥へ進んでいくと
目の前には休憩所?なのかな。
小さい祠もあるけど……
それにしても薄暗い。
北さんはスマホを取り時間を確認してる
北さんは休憩所に座って隣をポンポンと叩く。
隣に座ったは言いものの、北さんはずっと空見てる
ドンッ
と大きい音が聞こえた
ヒュ〜〜〜〜〜〜〜
バンッ
うんッ……私も違い分からないからいいや。
花火なんていつ振りだろう。
北さんと花火。なんか絵になる。
触れたい。なんて欲が出てくる
花火を眺めていると
ピタッ
触れた手を北さんが離そう
ギュッと手を握る
お互い花火をただただ眺めて時間が過ぎていく。
心の声が漏れた
目の前に北さんの顔。
触れた唇が熱くて、でも何処か切なくて。
その大丈夫って言葉と神様が見てるってゆー言葉は
あまりにも私には重くて、息が苦しかった
私は何言ってんだろ
北さんは考えて、考えて出した結果が
最後の最後まで、正論パンチかあぁ。
いつの間にか終わっていた花火
北さんとの分かれ道が近付いてきた
うん、大丈夫。未練は無い
お互い一緒に幸せになれる選択肢は無い。
グサグサと刺さる北さんの言葉。
北さんの言葉は聞かず、振り向かず
私はただひたすら歩いた。
ホロホロと涙を流しながら、明日からまたちゃんと
笑えるように
今はただ素直に泣いた。
▷▶︎▷▶︎NEXT
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。