第61話
私ってなんだろう。
北さんが目の前に立っていた
私は素っ気なく返す。
北さんのことを嫌いになった訳じゃない。
ただ信じられない。
信じてはいけないと心のどこかで。
腕をグッと掴まれると……
あまり力の入らない体は簡単によろけた。
スっと私の腰に北さんの腕が回る。
必死で体勢を整える。
北さんに今は心配して欲しくない……
またヒビが入った音が聞こえた。
とにかく今は北さんから離れたい…
グッとまだ掴まれていた腕を北さんは離さない
だから1番私の中で気になっていた事
あっ、やっぱり話したんだ。そうなんだ
グッと手を払いのけた
おかしくさせたのは貴方を好きな女だよ…
北さんは何も知らないのに……私はなんでこんな
どんどん壊れていく、崩れていく…
パキパキと、粉々になるような。
北さんは、何も言わず手の力を緩めた
それと同時に背中を向けて歩く
視界はボヤけて目の前が全然見えない。
パリンッ
心の何かが完全に壊れた。
そんな音なんて聞こえないぐらい心臓の音がうるさかった。
階段を登っている途中
鐘の音が聞こえる。
あっ、授業始まった……の……
_______________侑side
あなたが学校来たってサムから聞いて少しだけ
顔を見ようと居場所を聞いたら体育館におるって聞いた。
ただ顔見るだけや。
別に興味なんかない。
ただ弱ったアイツがみたいだけや
「もういい!離してよっ!!!」
あなたの声やった。
体育館の中側からソッと静かに聞いた
それはみんな知っとる事やで。北さん
あなたが教室に戻ろうとしたから、後を追うように教室へ向かう
北さんがおった方を見ると座り込んでいた
アイツ、北さんまで傷付けたんか。絶対許さん
そう思った矢先やった。
彼女は今にも消えてしまいそうな声でそう言った
目が離せんくなった。
クソ女やのに。
気付かれんように後を着いていくと
鐘が鳴った…
そう思っとったらあなたの様子がおかしい。
階段の途中でフラフラしと…ッッ!!!
ドサッッッ
ギリギリセーフ……。
あなたの腰や、腕は抱き締めた時より遥かに
細なってて、所々には痣がある。
そして1番衝撃やったんが……
腕なんてしっかり見た事ないから気付かんかった
薄らと切り傷、そして太ももには真新しい深い深い切り傷があった。
あなたを保健室まで、運んだ。
先生と会話を軽くし
元々保健室の先生は精神科の病院に務めとったことを知った。
俺はそれがなんやねんって思った。
そして
「あなたちゃんが転校してきた時よう保健室来てたんよ」
そう言った。
薬への依存。自傷の治し方。辞め方。
それらを先生に相談しては一生懸命治したらしい
「報告しに来てくれたんは5月やったよ」
GW合宿があった月やん…。
意味わからんわ。
そして先生はこう言った。
「この腕の痣からして自分の届く範囲しか作ってない。あと、太ももは完全に自傷行為やな。きっとこの調子やと、薬も飲んではるわ…」
あなたの事がよう分からんくなってきた…
あなたの顔を眺めていると、先生に教室戻りなさいと言われたから戻る。
モヤモヤでおかしくなりそうや……。
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