第87話
これからの
社長は車に乗って帰っていった。
凪はここまでして私を……
ギュッと、凪は私を包み込み
私の為に夢を捨て、レールの引かれた道を辿る
凪に申し訳なさが募る
分かってるよ。それでもやっぱり…
喜びより悲しみが勝って涙が頬を伝う
私を救い出してくれたのにな。
分かってる。
でも、そんな簡単な事じゃない
私は北さんに背を向け走り出した。
いつかは前を向ける。
じゃー、そのいつかっていつなのっ。
親友の将来を潰してまで前を向きたかった訳じゃない
分かってる。分かってる。
体育館離れの場所。
ただただ木のそばで静かに泣いていて。
「おい。なにしてる。」
バッと後ろを振り向くと。
全く知らない人
「え。夢原あなた…?」
「いや、俺お前に興味なんてないから。」
ゆっくり体育館の方へ向かっていく変なやつ。
本当に今日はツイてなッ……
目の前に真っ白の綺麗に畳まれたハンカチ
「使えば。あ、返さなくていいから」
無愛想にそういう彼。
「なに?潔癖?」
シンプルにイラッとして涙とか引っ込んだ。
「は?殺菌剤に付けて1晩置いてるわ。うだうだ言ってねーでさっさと使え!」
「付き合ってられないわ。面倒くさ。」
彼はそう言ってまた体育館へ戻って行った
案外バアアッと言いたい事言ったら気持ちって
冷静になるもんなんだ。
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