第31話
31話 現実味
テレビの前で、
おにぃ達を見るのは、
恐らくこれが最後になるだろう。
TV
次は、King&Princeで、
koi-wazurai!
いつ見ても、おにぃ達は、
やっぱり輝いてた。
凄いなぁ…スーパーアイドルって…!
おにぃも、何でそんなに笑っていられるんだろう…
おにぃが笑うから、私も泣かないよ。
そして、King&Princeの出番が終わり、
私は、ふと思ってしまった。
“あれ?私って、結局1人じゃダメなんだ”
おにぃは、私が居なくても、
笑ってるし、なんでもできる。
でも私は、おにぃが、おにぃがって言って、
結局自分の意思で動いてること、
無くない?
私、何してんだろ…?
今までの人生、
双子だからって、いっつもおにぃに付きまとって、
自分1人でちゃんと動いたことなんて、
何も無いや。
馬鹿らしい…
ホント、自分に呆れる。
嘘の自分作り上げて、双子って事に甘えて…
だからおにぃに、どんどん置いてかれるんだよ。
本当、バカだ。
私は、少しでも、
馬鹿な自分を紛らわす為に、
晩御飯を作り始めた。
人参と玉ねぎとじゃがいも、キノコ、豚肉、
を切って、それぞれ炒めて、
鍋に入れて、少し煮込む。
その後、カレーのルーを入れて、
少し煮込んで完成だ。
無心でやってたら、いつの間にか、
もうルーを入れるところまできてるし、
番組は、アンビリバボーに変わっていた。
私は、火をつけた鍋の前で、
座り込んでしまった。
7年前の今頃、
私はおにぃに抱きついて泣いていた。
全員意味が分からず、
ただ家の中に、警察官がいっぱい居て、
でも、現実味がなくて、
ずっと夢だと願っていた。