急に大声を上げたあなたに、
俺は少し驚いた。
俺も地面に座って話している為、
あなたの顔は見えなかった。
その中で、今もしまた、
あの苦しそうな顔をしてるのかと思うと、
胸がギュッと縮こまるような感じがした。
あなたside
嫌な予感がした。
この感じ、犯人が
バレてしまっているんじゃないかって…
あの時、原作を見られてしまって、
バレてしまうんじゃ……って思った。
海人に、原作の作者が犯人だと、
言ってしまっていたから。
もし、その話をしてしまったら、
バレてしまう…
ずっと恐れていた。
もしバレてしまったら…
って怖かった。
それが、ついにバレてしまった…
その瞬間、ブワッと涙が溢れ出てきた。
これで、皆も私から
離れていってしまうのかと思ったら、
本当に悲しかった。
一緒に住んでて、
一緒に学校に行って…
そんな、大好きな人達だった。
なのに…また…
私の周りからは、大事な人が居なくなってしまう。
ギュッと、着ていた制服のスカートを掴んだ。
何でも分かってる…
嫌なぐらいに…
当たり前のことでも、
どうしても聞きたくなってしまう。
“紫耀も私から離れていっちゃう?”
って。
でも、そんなことを聞く必要なんて、
全く無かった。
その紫耀の言葉に、
何か、凄く救われた気がして、
私は思わず声を上げて泣いてしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!