拝啓
さて、あの1件から早5日ほど経ち、
そちらはどのようにお過ごしでしょうか?
まぁきっと、ケラケラ笑ってるんだろうな…なんて思ってます。
この手紙は、あの時何も言わずに去ってしまったので、その代わりです。
1つ目は、あの人が終盤に言った、私の父親についてのこと。
実際、私の父親は末期のガンで、もう長くは生きられなかったみたい。
1度目は、あなたちゃんが受けるはずだった手術を受けたお陰で治ったらしいけど、再発して体的にもキツかったから、死を望んでたらしい。
一応教えはしておくけど、あなたちゃんは何も気にしなくていいから。
お母さんのことも、責めないであげて。
2つ目は、私達の組織は解散することにした、ってこと。
まぁ、あなたちゃんが知る必要は、本来無いんだろうけどね。
でも、あなたちゃん達には、沢山被害も加えたし、報告はしておきます。
でも、決して私達が解散するのは、あなたちゃん達のせいじゃないから、安心して。
ここまできて、最後に言うのも何だけど、
今までありがとう。
私を信じてくれたこと、素直に嬉しかった。
それに、自分を見つめ直すいい機会にもなったと思ってる。
これから、頑張るよ。
また、どこかで会ったら、
次は普通の友達として話そう。
またね
東雲 蘭
永瀬 あなた様
P.S.返事はいらないよ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!