アナウンス
まもなく3番線に、列車が参ります。
黄色い線まで、お下がりください。
繰り返します…
それから、1本電車を乗り換えて、
駅を降りたら、バスに乗る。
ここへの行き方も、もう慣れたものだ。
そう。私は今、
お墓参りに来ている。
駅に入ってる花屋さんで、
ちょっとしたお花を買って、
ここまで来た。
お盆でもない今は、
ほとんど人も居なくて、
凄く静かだ。
当時9歳だった私達でも、
おばぁちゃんとおじぃちゃんの指示で、
小さなお墓を建てた。
予め、持ってきておいた、
線香を炊いて、
お花を活けた。
そして、お墓に、水をかけて、
綺麗にした。
当たり前ながら、返事はない。
高校に行っても、周りの人には、
当たり前のように、親がいる。
それでも、周りが私達双子は、
親が居ないことを、知ることはなくて、
私はただ、
顔のいいお兄ちゃんが居ることを、
妬まれるだけだ。
午後6時
辺りが少し暗くなってきた頃、
私は、お墓を出た。
ここから、家まで、
大体1時間半ぐらい…
Mステには、ギリギリ間に合うかな
午後7時50分
私は家に帰ってきた。
電車が少し遅れて、
着くのに時間がかかった。
でも、テレビにはギリギリ間に合った。
私は、手洗いうがいもせずに、
テレビの前で構えてた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。