私達が山小屋を出ようとした瞬間、
外から入ってきた、
黒スーツの男性。
どこかで見覚えのあるその顔に、
私は自然の睨みつけていた。
見覚えがあったのは、そのせいだ。
やはり、お母さんの手下…
今まで、これほどにも海人と
噛み合わなかったことはあるだろうか?
いや、無い。
一時期は、協定を組んで、
情報交換して、コンビみたいな存在だった。
お互いに、認めあってるし、
海人はいつも私の話を聞いてくれて…
海人は……
いつも、私の事を最優先に考えてくれてた。
私は、いつも自分のことばっかりで、
“私が私が”って、
出しゃばって…
おにぃが大学に行く前に、
“5人で待ってるから”
そう伝えてきた。
だから、その言葉を少し借りて…
ちゃんと待ってる。
死なないように、
怪我しないように…
そんな意味を込めて。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。