海人side
昨日、俺は気づくとあの場所にいた。
午後1時
ジンとの仕事が早めに終わり、
楽屋で帰る支度をしてた時だった。
スタッフさんに、
後で来るよう言われたんだ。
確かに、今考えれば、
見覚えのないスタッフさんだった。
でも、そんなこと、
あの時は微塵も考えはしなくて、
俺は1人で言われた場所に向かった。
そしたら、そこには、
男の人が2人居た。
『どうしました?』
そう声をかけようとした直前、
俺は後ろから、
口と鼻を何かハンカチのようなもので塞がれ、
そのまま気絶していた。
恐らく、何か眠らせる薬のようなもの…
そんなものを嗅がされた気がする。
少し、ゴーヤのような、
苦い匂いがした。
そして、目を覚ますと俺は、
あの山小屋の中で、
イスに拘束されていた。
そして、目の前のパソコンがついて、
画面に映っていた、
女性が喋りだした。
その時、俺はまだこの状況を、
全く理解していなかった。
その言葉で、俺の中で、
色々と繋がった。
この人はきっとあなたを誘拐した人で、
あなたをおびき寄せる為に、
俺を誘拐したんだと…
それに、協定を組んでるのを知ってるなら、
きっと軽井沢旅行の時、
東雲 蘭が言っていた、
“敵に回しちゃいけない人物”
俺は、この言葉の意味を理解出来なかった。
そして俺は、
この小屋で1晩を過ごすことになる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。