第106話
106話 当たり前
海人と別れて、
私は、よく分からない、
廃墟ビルに向かう。
そして屋上に上がり、端に立つ。
そんなこと呟いて、その場に座る。
結局私に、ここから飛ぶ勇気なんて無くて、
でも、ただ死にたいと願う。
今日だって、本当なら、
おにぃと一緒に、
あの家に行ってたのかもしれない。
死ねばこんな辛い思いはしなくて済むのに…
なのに…
“俺嫌だよ”とか、
“死ぬなら俺と一緒に死の”とか…
その言葉が引っかかって、
死なせてくれない…
もしかしたら、私を必要としてくれてる人も、
中には居るのかもしれない…
そう思うと、ここから飛ぶのを躊躇する…
結局私は、その廃棄ビルの中で、
1晩を過ごした。
次の日
私は、嫌々通学していた。
そろそろ、嫌でも行かないと、
単位的にも、卒業出来なくなる…
まぁそれに、海人と約束したから、
仕方ない。
私が教室に着いて数分後、
教室が少しザワついた。
おにぃが、登校してきたんだ。
私はそれと入れ替わりで、教室を出た。
屋上
屋上から下を見ると、
女子2人が、仲良く笑いながら、
登校していた。
私も、小6ぐらいの時、
中学生とか高校生になったら、
こんな風に、友達とわちゃわちゃするのに、
憧れてた時期があったな…
まぁ、結局こんな風に、
女友達なんて1人出来なかったけど。
でも、おにぃが居るから何でも良かった。
その当たり前が、当たり前じゃなくなった時、
それは、以上に辛くなる。
それを、身をもって感じた。
当たり前が、1番幸せなんだ…って。