それから、私達はシェアハウスに戻ったが、
少し気まずくなってしまった…
まぁ、喧嘩じゃないだけ、
マシと思った方がいいのか…
学校で紫耀にそのことを話していた。
そして、あなたは何か、
腑に落ちない顔をして、
自分の席に戻っていった。
とはいえ、俺もあまり
人の心配をしてる場合じゃない。
この間、あなたのお母さんが、
直接俺に会いに来てから、
時々、誰かに付けられてる気がする。
あの人の言うことなら、
俺が囮に使われる。
その時、あなたが無茶しない訳ない。
それを初めから防ぐためには、
やはり俺が気をつけるしかない。
けど、相手はマフィア…
俺1人で、どこまで太刀打ちできるか…
後は……東雲 蘭だが…
期待は出来ない。
紫耀も少し、つまずいていた。
一方、やはりこっちも、
状況は、刻一刻と悪化している訳で…
気づいてはいた。
楓が、この人に協力していて、
よく会っていること。
“2度目はない”
そう言っても、楓は聞かなかった。
本当は、もう信じちゃいけないはずなんだけど、
どうしても、そうは出来ない。
私には、今の楓が何を考えているのか、
全く分からない…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!