第10話
10話 嘘つき
ごめんね、おにぃ嘘なんだ。
本当は、もう50人以上は居ると思う。
多い時は、1週間で5、6人に告られた。
1年生の時から、重ねると、
凄い人数だもん…
私の何がそんなにいいのか、
私には、さっぱり分からない。
勇気を出して告白してくれた人に、
私なんかじゃ勿体ないから、
毎回断ってる。
そう、俺とあなたは、
人見知りだ。
父親の仕事の都合で、
各地を転々としてたから、
親友っていう人は、出来なかった。
それに、俺たち双子は、
いつも2人で居るから、
友達なんていらなかった。
幼稚園でも小学校でも、
そうやって、2人で過ごしてきた。
だから、俺は、あなたが、
あんな場所で、バイトはしないと思っていた。
人付き合いが苦手なあなたが、
なぜあんな所で、一年もの間、
働けたのか、俺には分からない。
あなたは、一瞬、
下を向いた。
悲しそうな顔で
私は、涙目になっていた。
おにぃと離ればなれになっちゃう…
あなたが、
「大丈夫だよ、1人でも」
こう言う時は、大体嘘だ。
あなたは、本当に嘘つきだ。
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