海人side
俺は帰ってあなたに、
その犯人について聞こうと決めた。
が、シェアハウスに帰ると、
あなたは居なかった。
そして俺は家を出た。
向かった場所は、あの廃墟ビル。
あなたがいると思ったから。
走っていくと、
案の定あなたは居るようだった。
でも…
泣いていた。
本当に聞いても、大丈夫だろうか…
勢いだけで来てしまった…
何で泣いているのかは分からないけど、
きっとその犯人のこと…
俺で慰められる?
俺には、無理なんじゃ…
でも…放っておけない…
きっと、それも嘘なんだろうな〜…
って、分かってしまう。
だって演技で、
そんな苦しそうな顔しないでしょ…
あなたの笑ってる顔とか、
泣いてる顔とか、怒ってる顔とか、
全部好きだけど、
この苦しそうな顔だけは、嫌いだ…
俺には到底分からないものだけど…
あなたが、
これ以上何かを発することは、無かった。
あなたside
海人にバレた…
だってそうだ…
海人とは協定組んでたから、
犯人が分かることも教えてたし…
まぁ確かに、今考えたら、
バレるのも時間の問題だったんだ。
しかも、海人とおにぃ以外のメンバーは、
あの原作者の名前も知ってる。
海人は、犯人が分かってる…
でも、まだ私から言う勇気は無いから、
悟ってくれたら嬉しいな…
それじゃダメだって、分かってるけど…
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!