午前5時25分
あなたside
時折響く銃声に、嫌な予感が頭をよぎる。
いや、そんなこと考えたらダメだ。
そう思いながらも、
ドアの向こうからは、
また違う声が聞こえるし……
何故か、何もしてない私が吐き気に襲われていた。
いつ、母親は来るのだろうか……
おにぃが居ないのが良いのか、
私にはよく分からない。
せっかく、このタイミングで、
全て言うつもりだったのに……
とは思うが、やはり、
聞かれなくて良かったと思う自分もいた。
ガチャ
来たのは母親だった。
というか、ここを通ってきたってことは………
お母さんが、やけに笑顔でそう言うから、
少し気味が悪かった。
意味が分からなかった。
“全て”って何だ。
終わりにしたいのは、こっちもそうだが、
何か違う…
私とお母さんで、
少し意味が異なっている…
パチッ
その時、ずっと消えていた電気がついた。
そして、私とお母さんの、
1体1の“勝負”は始まった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!