第300話
300話 最期の命令
要するに、お母さんは
ほぼ復讐目的だったのだろう。
マフィアに入り、
お父さんを殺してまで、お金を貯めたのに、
裏切りのように、手術を無かったことにした、
蘭さんの父親が憎かったのだろう。
それに、理由が面白かったから…なら尚更だ。
恐らく、私を誘拐した後にイタリアに行ったのは、
油断させた後で、
殺すためだったのだろう。
動機はそうだったとして、
どうやって、
そんなお偉いさんを殺したのかは分からないが、
結局1歩上を行ったのは、
お母さんだったのだろう。
とはいえだ。
殺したらダメだろう……
マフィアだと
それが普通なのかもしれないが、
これは復讐…
お母さんは、ただの人殺しだ。
もはや、怒りも超えて、
放心状態の蘭さんに、
私は何も言えなかった。
私はこの件に関して、
どちらの味方も出来ないから………
私に……そんなことを言われても…
そう思ってしまう私は、
間違っているのだろうか……
バッ
蘭さんは、少しの沈黙後、
俯いていた顔をゆっくりと上げて、
お母さんに銃を向けた。
︎︎
もう、何もかもさっぱり分からなかった。
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