おにぃはそっけない。
おにぃ、おにぃってずっと呼んでるけど、
私達は、双子。
おにぃの方が、数秒産まれたのが早いんだ。
私達双子は、一卵性双生児だから、
顔はそっくりだし、
好きな物、嫌いな物も一緒。
性格も昔はそっくりだった。
私達双子は、7年前、小学4年生の時に、
何者かによって、父親が殺された。
そのショックからなのか、
母親は、その3日後、家で首吊り自殺をした。
私達双子は、両親の死体を見た。
父親は、血まみれで、
母親は、冷たく、動かなくなっていた。
どっちも、朝起きたら、
いきなり死んでいた。
父親が死んだ時、
私達双子は、泣いた。
私は、おにぃに抱きついて泣いた。
泣きやんだのは、2日後。
もう、目が乾ききっていた。
そして、3日目の朝、母親が死んでいた。
その時、私達双子は、
もう泣けなかった。
もう体内に、涙が無かった。
それから、私達双子は、
2人でアパートの一室に住んでいる。
幸い、お金は貯金があったらしく、
何とかなっている。
それに、おにぃはアイドルとして、
働いていて、
私も、アルバイトをしている。
でも、おにぃは、あれから変わってしまった。
私に、そっけなくなった。
笑ってる顔を見ることは、
もうしばらく無い。
そうして私達は、今、高校2年生だ。
午後8時
私は、そう言って、家を出ていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!