翌日
午後10時
俺は、1人家を出た。
昨日東雲からきたメールには、
・午後11時、山小屋待機
・一応、周りをしっかり見ておくこと
・その時も出来るだけ音を出さないこと
《条件をしっかり守るように!!》
とのことだった。
そういえば、マフィアって言ってたもんな…
何かしら、まずいのかな…?
と思ったが、特に返信はしてない。
まだ、信用している訳でも無いから。
でも、あなたを救出する為に、
協力するなら、それは仕方ないことだ。
午後10時45分
俺は山小屋の裏に着いた。
周りも確認したが、特に昨日と変わりは無い。
本当は、今すぐあなたに声をかけて、
“今助けるから”
って言ってあげたいけど、
これも条件があるから仕方ない。
一方のあなたは…
寝ていた。
する事も無いし、食べ物も無い。
体力を奪わない為にも、
寝てるのが1番いいと感じた。
まぁ、暇だし。
一応、いつお母さんが来ても良いように、
切った紐を結び直し、
自分で、また元通りにした。
自分で、自分を縛り付けて、
何してんのかな?
とも思ったけど、まぁ仕方ない。
15分後…
紫耀side
誰かの足音がした。
分からない。
見てはいけない。
でも、見てみたい。
どんな人なのか…
女なのか、男なのか…
体格は?
年齢は?
俺でも勝てそうな相手なのか…
でも、東雲が“待て”という以上、
俺はそれを守ることしか出来ない。
マフィアが言う強い人…
凄い筋肉モリモリな、マッチョ?
そう思っていたら、
キィーー
という、古いドアの開く音がして、
俺は山小屋の中の声に、
耳をすました。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!