海人が帰った後…
私の中で1つの疑問が生まれた。
それは………
海人は、
『紫耀や廉は信じてるみたいだけど……』
と言った。
紫耀が信じるのは分かる。
私と居て、実際に助けに来てくれた、
事実があるから……
でも、どうしておにぃが、
蘭さんを信じているの?
普通なら、有り得ないのだ。
何度か会っていて、
自分達が有利になるように
動いてくれている蘭さんを見ていた、
海人達でもまだ信じないのに、
何も知らないおにぃが、信じる訳が無い。
仮に、おにぃが蘭さんの
してくれていることを知っていたとしても、
おにぃはきっと信じない。
それは、双子の私だからこそ、
断言出来る。
おにぃは、そんな簡単に人を信じない。
そもそも、海人が
最後におにぃ達と会ったのはいつ?
少なからず、もう2週間以上は経っているはずだ。
2週間前、蘭さんはまだこの御屋敷に、
潜入していないはず。
海人が、いつそう思ったのかは分からないが、
それがどうしてか考えた時、
それはもう1つしかない。
“私が知らない間に、
おにぃは蘭さんと連絡を取っている”
そして恐らく、
“蘭さんがおにぃの為、もしくは私の為に、
何かしてくれた事実を知っている”
そして、決定的なのはお母さんの、
『廉と蘭は繋がっているわよ』
その一言だ。
あの時は、嘘だと思い受け流したが、
まさかそれが本当だとはね…
思い返せば、あの時の話は、
“裏切り者”の話。
もし仮に、本当に蘭さんが裏切るとしても、
それはお母さんに対して。
おにぃが信じた人なら、
もう敵対することは、二度と無いだろう。
これはもはや、確定演出だ。
そしたら、私は言ってやろう。
心底見下して、『バカね〜』……と、
お母さんのように…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。