プルルルル プルルルル…
海人は、まさか犯人が、
私達の母親だとは思ってないだろうな…
私達が、人殺しの子供だ…って知ったら、
皆、私達から離れていくのかな…
あぁ、死にたいな…
つい、口に出てしまった。
必死に出した、SOSだった。
もう限界だった。
ツーツーツー
これ以上、話していたら、
もっと助けを求めてしまうから、
私は強制的に電話を切った。
そして私は、屋上に出る。
10月の夜。
少し冷たい風が吹く。
あのドラマが、お母さんの書いたものなら、
私達双子は、
今までずっとお母さんの手のひら上で、
躍さらされてただけ。
自分が本っ当に、バカバカしい…
端に立って、下を見る。
ここから飛んだら、
100%死ぬだろうなって分かる。
でも、空飛べるかも…
そんな、アホな考えすらしてしまう、
自分が嫌だ。
片足だけ、浮かせて出してみる。
死ねたら楽なのに…
もうこんなの辛いのに…
そんな感情が入り交じる…
結局私は、その場に座り、
足だけを外に出した。
犯人が分かったら全て終わる。
そう思った。
でも、そこがスタートだった…
犯人が分からない時も、
何してんだろ…って思って、
犯人が分かってからも、
何してんだろ…と思う…
ずっと私は、無駄な行動をしてたんだな…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。