第157話
157話 台
何でこんな事になってるんだろう…
そんなことを考える。
親が死んだ後……
いや、死んだと思っていた頃から、
おにぃと2人で過ごしてきたけど、
何で命まで狙われているのだろう。
しかも、実の母親に命を狙われるなんて…
誰が願うか、そんなこと。
てか、私そんなに悪いことした?
そんなに、お母さんの機嫌を損ねることした?
いや、してないでしょ。
何で命狙われてんのさ。
意味分かんないし。
犯人知ったのに、おにぃには言えないし、
なんなら母親生きてたのに、
あんなんになってるし。
てか言ったら、おにぃまで狙われかけないし。
マジでバッカじゃないの?
自分で自分にそう言ってる自分も嫌いだし、
こんな生活してる自分も大嫌いだ。
でも、それよりも、
あんな母親、大っ嫌いだし、
私の青春返せよ、マジで。
今は、怒りしか湧かない。
もう何を考えても、怒りにしかならない。
死ね。
全員死ねばいいのに。
もう思考がおかしい。
自分で分かってはいるが、
それもまた、怒りに変わる。
徐々に自分自身が壊れ始めている。
そう思い始めてからは一瞬だった。
パリンッ!!
お母さんと会ってから、1週間後のことだった。
洗っていたお皿が、滑って地面に落ち、
真っ二つに割れた。
それを気に、今まで我慢して、
留めていた何かが、
大きな音を立てて、私の中で破裂した。
何も考えられなくなって、
誰も信じられなくなった。
割れたお皿は、まるで今の自分みたいで、
“普通の生活”という台から、
滑り落ちた私は、
地面に叩きつけられ、
私の心は、真っ二つに割れた。
幸せという台は、
普通の台からも、ほど遠いところにあり、
どん底に落ちた私に、
幸せという台は、どこにも見えなかった。
ましては、普通の生活という台も、
全く見えることはなかった。