俺、あなたのこと追いかけてくるわ
うん
紫耀side
俺はあなたが出ていってすぐに、
あなたを追いかけた。
時刻は午後8時。
外はもう、真っ暗だ。
こんな時間に、女の子が1人で出歩くなんて、
危険すぎる。
あなた!
ビクッ
良かった、居た…
走り疲れたのか、
トボトボと歩いていた。
だからすぐに見つかった。
ヒック……ヒック……
あなた…泣いてる…?
前から除くと、
あなたは下を向いてしまったが、
泣いていたようだった。
どうしたの?あなた
帰ろ?皆心配するよ?
嫌…
おにぃと、
しばらく顔合わせたくない…
そっか…じゃあ、あそこの公園行こ!
何でも聞くからさ、話してよ
……分かった
︎︎
どうしたの?
…………
はい、お茶。
これ飲んで少し落ち着きな
ありがと…
珍しいね、喧嘩?
そうなるんかな…
あなたと喧嘩なんてしたことないから、よう分からんわ
そう、生まれてこの方16年。
生まれる前から一緒の俺らは、
喧嘩なんてしたことなかった。
そもそも喧嘩する理由も無くて、
兄妹喧嘩ならぬ、双子喧嘩とは、
無縁だったのだが、
遂に喧嘩した。
この後、どうしたらいいのか、
全く分からない。
で、何があったの?
昔のことを、ちょっと思い出して…
それに矛盾があって、
おにぃと話してたの…
それに感情移入しちゃって、焦ったせいで、おにぃに強く当たっちゃって…
そして、喧嘩した…
昔のことって、
お母さんお父さんのこと…?
そう…
この間、時効のこと知ってさ
それで、もしかしたらって調べたら、
もうあと3年しかなくて…
最近少し焦ってたから…
3年か…長いようで短いよな
うん
おにぃと喧嘩するの、
初めてなの
初めて!?
うん…喧嘩なんてする理由もなかったし…
だから、どうしたらいいか
分からないしさ…
私1人じゃ何も出来ないから…
まぁ要するに、困ってると
まぁ………
この喧嘩も、全部その犯人のせい…
その犯人が、何も罪を償わないで、
生きてるなんて、私が許さない
犯人が、罪を償わないのなら、
私が殺す…
あなた…
紫耀side
俺は何も言えなかった。
ただ、あなたが1人で溜め込んでいたものは、
俺が想像していたよりも、
遥かに大きな問題で、
そう簡単に、解決出来ることではなかった。
あっ、でも時効までに見つけるから、ちゃんと逮捕されるだろうし、
殺さないよ?
あっ、うん
それに、これを機に1人で
色々頑張ってみる
何か手伝えることがあったら、
俺も手伝うよ
うん。ありがとう
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!