第261話
261話 怖いもの
午後5時30分
コンコン
反応は無かった。
あなたside
つい1時間ほど前、
いつものように、外を眺めてたら、
ザワッと少し騒がしくなった。
その直後、私の部屋の前に、
数人の男性と女性が来て、
窓を閉めるよう指示された。
何が何だか分からず、外を見てると、
10分もしないうちに、
窓の外にいた人達は居なくなり、
普段通りに戻った。
そう思った数分後、
部屋の外から聞こえてきた、
玄樹の声に、
衝動的に体が動いた。
少しドアを開け、廊下を見ると、
本当に玄樹が居て、
何なら、岸くんも一緒に居た。
どういうこと?
まさか、助けに来たんじゃないよね?
また、人質が増えてしまった…
そう思うと、もう今後のことが怖すぎて、
何も聞きたくなかった。
そして、布団の中にこもっていた。
それから、ドアをノックされ、
また玄樹の声がして、
今に至る。
結局、ドアは開けられて、
近づいてくる足音がした。
私は更に布団の中で縮こまった。
バサッ
布団が取られて、玄樹と目が合った。
怖くて、逆に目が離せなかった。
今、目の前に居るのは玄樹。
そう分かってはいるし、
怖いはずなんかない。
なのに……
体が、恐怖から震える…
そうじゃないのに……
玄樹と岸くんだったからとか、
そんなことじゃないのに…
自分が何に怖がっているのか、
分からない…
その何かが怖すぎて、声が出ない…