私は、少し大きなため息をついた。
5人に、あんな意味の分からないことを
言ってしまったこと。
でも本音が言えたこと。
また1人になってしまったこと。
でも1人になれて少し嬉しかったこと。
凄く色んな感情が入り交じって、
私の頭は、
またも意味の分からないことになっていた。
私は、何時間ぶりかに布団を出て、
買ってきてくれた中身を見た。
薬に、ポカリ、
それからお湯を入れるだけで作れるご飯…
ありがたかった。
だけど、今の私は、到底食欲なんて無く、
何か飲むだけでも吐きそうだったから、
薬だけを取った。
ベット横のライトを付け、
薬の箱を開けようとすると、
薬の箱に、メモがついていた。
あの5人の中で………
いや、キンプリの中で、
世間一般的に見て、1番綺麗な字。
内容は…
あなたへ
1人にしてごめんね。
連絡くれたら、絶対会いに行くから。
それと、新しいマネージャーだけど、
多分廉のこと気に入ってると思う。
じゃあ、お大事に。
5人より
私はその1文を読んで、すぐに疑問をもった。
気に入ってる?
気に入ってる……?
まず1番最初に思ったのは、
“何か嫌”という感情。
別に、恋人に抱くような、
そういう“嫌”とはまた違うけど、
双子として、どちらかというと、
“嫌な予感”がした。
2つ目は、この“気に入ってる”の意味。
これが1番引っかかった。
“気に入ってる”とは、どこまでを指すのか…
単純におにぃのファン…
“廉担”っていうこと?
正直、廉担ならまだいい。
善悪の区別が、しっかりできるファンに限るけど…
それよりも怖いのは、誰でも良かった場合…
時々、有名人なら誰でもいい…
そう考える人が居る。
その場合、絶対上手いように、
告げ口するはず…
そしたら今のおにぃなら、
もしかしたら信じちゃうかもしれない…
記憶が曖昧だって、
おにぃ本人も分かってるから。
だって私なら、絶対信じちゃう…
そして私は、薬を飲み込んだ。
この妄想が、現実だと知るのは、
もう少し先の話…
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。