そんな日々が続いたが、
ある日を境に、また状況が一変する。
そう、また今年もこの日がやってくるのだ。
8月25日。
“8年前”に、家族で海に行った日だ。
その日は、あなたが必ず熱を出す。
そして、この5日後、
父親は、母親に殺される。
そしてその3日後、母親は自殺した…
…………はずだった。
今年“も”
というには、今年は少し状況が違った。
1つ目は、
あなたは犯人の正体を
知っているのに対し、
廉は未だに分かっていないこと。
2つ目は、
例年より、風邪の症状がキツいこと。
少しして、コンコンというノックの後、
すぐに紫耀が入ってきた。
そして……
呆れながら、そう言ってきた。
紫耀side
泣きながら、そう訴えてきて、
一瞬で、
“あぁ…悪いこと言ったな”
って思った。
やっぱり、あなたが以上に働いてたのは、
お母さんのことを頭から、
無くす為で、わざとやってたことだったんだ。
それを、この熱で一気に思い出して、
情緒不安定になってるんだ。
でも、それを廉には言えないから、
わざわざ俺を呼び出して、
SOSを出したんだ。
あなたがちゃんと、
助けを求められるようになっただけでも、
大きな変化なんじゃないかな、
と俺は思った。
それが熱のせいだとしてもね。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。