第82話
82話 間違いない
私は、事故のあった駅に向かおうとしていた。
が、シェアハウスから
1番近い駅に行ったものの、
事故の影響で電車が止まり、
駅に入れそうも無かった。
それは、バスもタクシーも同じで、
事故のあった駅には行けそうにない。
ついに私は、道の真ん中で叫んでしまった。
周りの人は、ザワザワと私を冷たい目で見た。
何もかも、全てはお父さんを殺した、
その犯人のせい。
お父さんを殺してなきゃ、お母さんは死ななかった。
お父さんを殺してなきゃ、こんな喧嘩してない。
この喧嘩のせいで、一緒に帰らなくて、
こんな羽目にあって…
その犯人を私は、絶対に許さない。
私は、岸くんに手を引かれ、その場を走り抜けた。
そして、人の居ない場所まで来た。
撮影は?って、おにぃのこと?
えっ…?
ダメだ、頭が回らない。
私はそう言い、岸くんに構わず、
シェアハウスの方向へと歩いた。
なぜかは分からないけど、
おにぃのことを言いたくなかった。
頭が明らかに回っていない今、
何でかなんて分からないけど、
本能的に、言うのを辞めた。
でも1つ、頭が回らなくても、
私の頭によぎったことがあった。
“おにぃは、私を残して死なない。”
きっとこれは、間違いない。
だって、私なら
意地でもおにぃを1人残さない。
それに何より、私達は、
『2人で1つ』だから。