第150話
150話 その人は
知らないスタッフの人からの電話で、
私は少し戸惑った。
撮影も何回かはしたが、
話すのは主に監督だったし、
さっきもそうだけど、
連絡は監督自身から来てきた為、
スタッフさんとは、ほとんど面識が無かった。
一瞬、思考が完全に停止した。
その後、何かの聞き間違いだと思った。
頭の中で、沢山の疑問が巡る。
何で死んだのか?
私の前から、“また”大切な人が消えた。
そして何より、大きな疑問が1つ。
今日の夕方……
さっき会った、あの監督は、誰…?
さっき会って、話して、
ドラマが無くなったことも教えてくれた、
あの人は誰…?
幽霊?
いや、そんな訳ない。
あれは誰?
おにぃは、よく分からないという顔をしていた。
その中で私はまた、おにぃに1つ、
隠し事をした。
ごめんね…
その気持ちとは裏腹に、
絶対に言わないという、謎の覚悟もあった。
それは、明らかに、
これから何かが起こる前兆で、
この嫌な予感は、絶対に当たるという、
自信からだった。